糸島まごころ葬儀羅漢の竹島です。
その男の子とはじめてあったのは、故人様のご自宅でした。
故人様をご安置させて頂いた後、ご住職様の枕経が終わった頃、「ただいま~」
と元気な声と共に勢いよく玄関に飛び込んで来たのです。
「こっちに来て、お参りしんしゃい」
ご住職にうながされた男の子は枕飾りの前で、
焼香のしたかを教えられながら、手を合わせていました。
ご住職様が帰られた後、別室で喪主様と葬儀の打合せとなり、
しばらくしてからでした。
男の子がぐすぐすとしゃくりながら、この部屋に入って来たのでした。
「どげんしたと?泣いてから」と喪主様が声をかけると、
「ばあばがしんだけん」と小さな声を出しました。
「そうかそうか、お前はやさしい子だな」
喪主様は男の子を抱きよせました。
その日はご自宅から羅漢ファミリーホールへ故人様をお迎えして、通夜となりました。
当社では思い出コーナーを設けていて、そのひとつに故人様のお写真を貼った色紙を
用意して、ご遺族ご親族の皆様が寄書きをしていただけるように、シール式の
メッセージカードを置いています。
…そしてお葬儀当日、その男の子が覚えたての字でボールペンで刻むように
書いていたのです。「ばあばにわたしたいものがあるしなないで」
私は健気でやさしい心に打たれて、「おじさんが貼ってあげよう」と声をかけ、
おばあちゃんのお写真の横に貼ってあげました。
やがてお別れの時がおとずれ、
柩にはたくさんのお花が手向けられ、男の子のメッセージも貼ってある色紙
が添えられ、男の子は喪主様の横で一生懸命に手を合わせていました。
(まさに一生懸命というように私には写りました)
そして柩が閉じられご出棺となった時でした。
「ばあば」「ばあば」と男の子は声をあげて泣き出しました。
その光景は、すでに小さな胸のなかで、いのち と向き合っているようでした。