糸島まごころ葬儀羅漢の竹島です。
「〇〇様はいつも笑顔を絶やさない明るい方だったとお聞きしました。ご遺影を見ていますと,そのお人柄がそのまま伝わってきました」
そう言ってご導師様はご法話をはじめられました。
「今,お通夜のお務めの中で『提婆達多品』を上げましたが、八万四千(はちまんしせん・・・膨大な数を表す言葉)の経典の中で『女人成仏』(にょにんじょうぶつ)を説いてあるのは『提婆達多品』だけです。ですから、女性の方が亡くなられたときはこのお経を上げているのです」
日蓮宗のお葬儀の時『方便品』と『如来寿量品』は必ず上げられるお経ですが『提婆達多品』も時折聞かせていただくことがありました。今回ご法話を聞かせていただき,やっと納得することが出来ました。
ダイバダッタというフレーズは、小学生か中学に上がったばかりの頃から私の記憶の中にありました。
昔、大映に本郷功次郎という役者さんがいて『釈迦』という映画の中で、お釈迦様を演じていました。その中で悪人として登場するのが提婆達多でした(勝新太郎さんが演じていました。当時の子供にとって映画は贅沢な娯楽でした(テレビは裕福な友達の家で観ていた時代です)・・・ちなみに提婆達多はサンスクリット語のデーヴァダッタを音写したものです。
女人成仏というお話が心に残り、私は数日後、糸島市図書館に出かけ『法華経』に関する本を二冊ほど借りてきました。提婆達多品は正式には『妙法蓮華経提婆達多品第十二』といい品第十二とは、第十二章ということのようです。それらの本によりますと、
釈尊とその弟子たちを迫害した悪人の提婆達多の成仏を説き、法華経の功徳を示している。釈尊は「悪人の提婆達多は過去の世において私の師であり、提婆達多の導きにより私は成仏できたのである」と述べ、悪人成仏を示されたものです。続いて、文殊菩薩の教化を受けた八歳の龍女の成仏を説いて、女人成仏の手本を示されます。とあります。
ご住職のご法話に後押しされ、もう少し勉強しようと思い、私は岩波書店から出されている『法華経三巻』を買い求めてきました。1964年発行から現在に至るまで発行され続けられていて、全二十八品が収められ『妙法蓮華経』の原文と、その読み下し文と、サンスクリット語原典の現代語訳、巻末には注釈で構成されています。
『門前の小僧習わぬ経を読む』ではありませんが、通夜に聞かせていただくご法話は、本当に有り難いものです。
今回はメガネ(老眼鏡)をかけないと、とても読めない文庫本とマイメガネをスケッチしてみました。