在宅で亡くなった奥様(60代)

今回お亡くなりになったのがお正月時期と、遠方からの親戚が来るからと言う事で、お通夜を翌々日の日に行う事と、お通夜当日までは家族で家で過ごしたいとのお申し出をうけ、そのような日程で進める事になりました。

 1日目となる仮通夜は、保全の為のドライアイスをお体に当て、弔問者がそのまま話しかけられる様最後を過ごしたベッドにご安置した状態で葬儀のお打ち合わせ等を行いました。ご主人様はまだ目の前に起こった出来事を受け入れられないご様子でした。こちらも急がせる事無くと思いながら対応させていただきました。

 2日目の仮通夜は、遺影写真に使う写真の選定や、お通夜からお葬式までのお食事の事などの打ち合わせを進めました。また、奥様は終末期にお風呂に入る事が出来なかったので納棺する前に湯灌をして、好きな洋服を着せてからお柩に納棺したいとの事で、3日目のお通夜のために式場へ移動する前に行う事となりました。

 3日目。午前中までご家族でゆっくりと過ごしてもらい、午後から湯灌を致しました。お体をきれいにした後にお気に入りのピンクの洋服を着せていきました。洋服を着せているときに、京都から来られたご親戚の方が「京都では着物を着せるので洋服を着せるのは初めて見ました」とおっしゃいました。着せ替えを終えるとスタッフがメイクをしてからお柩にお納めします。柩の蓋を閉じる際に、お友達から頂いた千羽鶴やお気に入りのぬいぐるみなどを一緒に納めて出発の準備が整いました。お柩を自宅から出す際には、ご主人様とご長男様にもお手伝いをして頂きました。

 場所は自宅からお通夜の式場へと移り、お二人の子供様にご同行頂きました。ご主人様は、大分からお見えになる親族の方と一緒に来ますとの事でした。式壇には奥様が好きだったピンク色を中心としたお生花でお飾りしました。式壇中心にお柩をご安置すると、式壇の中心に飾られたモニターに映し出されたお元気な頃の奥様のお姿にご家族様は、涙を流して無言の会話をされているようでした。

 「妻が元気なときに作った手芸品があります。これをご参列頂いた方に想い出に欲しい方にはもらって頂きたいんです。」

このようなご要望を頂きましたので受付のテーブル前にお飾りして、ご希望の方はお持ち帰り頂く様メッセージをつけました。

 「隣近所2,3件がお参りにお越しになる程度だと思います。」とご主人がおっしゃってましたがフタを開けるとびっくりです!たくさんのご弔問者様がお見えになって式場はほぼ満席となりました。そして受付前の品も多数お持ち帰りになりました。

 4日目いよいよ告別式です。少なくなっていたお持ち帰りの手芸品もご家族様が補充されていました。この日もたくさんの方がお集まり頂きました。お二人のご友人からお別れの言葉・弔辞もございました。ご遺族様やご会葬者様も、元気な頃の奥様を思い出し、涙を流されていました。式の最後に行われる遺族親族代表挨拶も、ご長男様が立派に務められました。この後がお柩の蓋を開け、たくさんのお花と折り鶴を入れる「最後のお別れ」となりました。式が終わり、向かった火葬場でのお別れにお孫様が柩の側で泣いて離れようとしなかったのが心に残りました。

 4日間かけて行われたこの方のお別れには、たくさんの方にお集まり頂き、最後のひとときをご家族様と過ごす事が出来たあたたかいお式となりました。